※この記事で紹介しているTAB譜の実演は↑の動画からご確認いただけます。
今回は、冒頭の動画で弾いたようなメロディとバッキングを一人二役で演奏できるブルースギターのアドリブ練習法を紹介します。
このスキルが身につくと、一人で演奏する時はもちろん、デュオやバンドでの演奏でもソロやバッキングの説得力が大きく変わります。
こうした演奏スタイルには、フレーズやコード、リズム感など様々な要素が必要ですが、中でも特に重要なのが「タイム感」です。
タイム感がないと、
- 今どこを弾いているか迷子になってしまう
- バッキングのコード進行を意識できない
- メロディが単調になってしまう
などの問題が起こりやすくなります。
タイム感とは
ではそのタイム感とはどういうものでしょうか?
それを説明するためには、まずはアドリブにおいて重要な3つの要素を理解する必要があります。
① いつ(=どんなタイミングで)
② 何を(=どんなフレーズを)
③ どのように(=どんなニュアンスで)
この中で①のどんなタイミングで弾くかという、そのセンスがタイム感です。
このタイム感は全ての土台であり、アドリブを弾くための必須スキルです。
その理由を次に説明します。
タイム感の重要性
少し余談になりますが、タイム感の重要性をより理解するために、お笑いの世界を例に出してみます。
漫才やコントでは「間(ま)」が非常に大事で、タイミングがズレるとどんな面白いネタも台無しになります。
逆に、何気ない一言でもタイミングがバッチリ合えば笑いが生まれますよね。
あるいは、ヒップホップのラップも、わずかなタイミングの違いでノリやグルーヴが大きく変わります。
つまり、声でも楽器でも、音を使った表現は全てタイミングに支配されていると言っても過言ではありません。
言い換えれば、タイミングを制す者は音楽を制すということになるわけです。
練習フレーズ
Ex-1 〜初級フレーズ〜
ここからは、タイム感を鍛える練習フレーズに入ります。
最初の練習フレーズはこちらです。

使っているスケールはAマイナーペンタで、3箇所の音だけを使ったシンプルなフレーズになっています。
①…最初にコードの響きを確認してからフレーズを弾き始めます。これがコード感を感じる訓練となります。
②…空白部分は、楽譜ではルート音のみ記載していますが、適当に4拍分のバッキングパターンを弾きます。
③…E7のコードの箇所だけ、コードの音に合わせて終わる音が少し変わっていますので注意してください。
Ex-2 〜フレーズを遅らせたパターン〜

2つ目のフレーズは、最初はバッキングフレーズから始まって、「イチト ニイト サント」の「ト」のところでメロディーを弾き始めます。
つまり、さっきのフレーズより少し遅れたタイミングで弾くことになります。
メロディーを弾いている間は、コードがどこで変わっているのか、今何拍目なのかを見失わないように意識してください。
本当は演奏中は拍を数えずに感覚で捉える方がいいのですが、もしどうしても拍を見失うようであれば、イチトニイト…と数えながらゆっくり弾く練習を行なってください。
Ex-3 〜フライングしたパターン〜

①…このフレーズも先ほどと同じように、「イチト ニイト サント」の「ト」ところで弾き始めますが、今回はコード進行が始まる前にフライングして弾き始める感覚です。
②…フレーズが小節線をまたいで弾く感覚は重要な感覚です。
この感覚を持てると、このフレーズを弾くことに限らず、どんなアドリブを弾いても自然と生き生きとした躍動感のあるメロディーになると思います。
Ex-4 〜フレーズがだんだん伸びていくパターン〜

4つ目のフレーズは、最初の短いフレーズから段階的に伸びていきます。
最後のフレーズは長くなるのですが、フレーズを弾いている間も、今どこを弾いているのかを感じながら弾くのが大切です。
Ex-5 〜自由なリズムで弾いたパターン〜

5つ目のフレーズは、今までやってきたことの応用で、自由なリズムで弾くパターンです。
もしこれが難しいと感じたら、Ex-1〜4のパターンを繰り返し練習してみてください。
Ex-6 〜メジャーペンタを織り交ぜたパターン〜

6つ目のフレーズでは、マイナーペンタの形を3フレット分左へずらして、メジャーペンタも合わせて使ったパターンになっています。
フレーズの終わる音が所々変わるので、その部分に注意してください。
Ex-7 〜総合課題〜

7つ目のフレーズは、今回の総合課題として、自由なリズムで、かつメジャーペンタとマイナーペンタを使い分ける内容になっています。
と言っても、右へ行ったり左へ行ったりしているだけなので、Ex-5ができれば問題なくできると思います!
おわりに
お読みいただきありがとうございました。
今回は、メロディーとバッキングを一人でコントロールするためにタイム感を鍛えるという内容でした。
使用したTAB譜のPDFデータはこちらからダウンロードできます。
今回のフレーズは3音だけのシンプルなものでしたが、ぜひご自身の得意なフレーズや好きなフレーズを使って、同じようなことを試したり遊んだりしてみてください。
今後はもっと複雑なフレーズや、メジャーペンタトニックの詳しい使い方なども解説していきたいと思いますので、ぜひ他の記事もご覧いただければ嬉しいです。
ブルースギターに関するレッスン動画は、以下↓の再生リストにまとめています。

