ジャズのスタンダード曲では、「II-V進行」と呼ばれるコード進行が多く使われることが特徴です。
そのため、II-V進行に対応する定番のフレーズを身につけておくと、アドリブソロで非常に役立ちます。
こうしたフレーズを「II-Vフレーズ」と呼びます。
イメージとしては、英会話でさまざまな場面で役立つ便利なワンフレーズを覚えておくと、何かと便利になるのと同じです。
II-Vフレーズには無数のバリエーションがありますが、数多くのフレーズをむやみに覚えるより、少ないフレーズをしっかりと体に覚え込ませる方が実際の演奏では効果的です。
そこで、この記事では簡単に覚えられてかつ使い勝手の良いII-Vフレーズを2種類紹介します。
①2種類の基本フレーズ
フレーズAとフレーズBの2種類のフレーズを基本とします。
フレーズA
Dm7コード上で上昇していくパターンです。
左も右もどちらも同じフレーズですが、指板上のポジションが異なります。
同じフレーズを2種類のポジションで弾けるように練習してください。

フレーズB
Dm7で下降していくパターンです。

②フレーズの延長
次に、①で覚えた2種類のフレーズを前後に延長させます。
フレーズAの延長
上記の例はDm7とG7が1小節内に収まっていましたが、Dm7とG7それぞれ1小節分の長さがある場合はフレーズもその分長く伸ばす必要があります。
↓フレーズAの前後に音を追加して長く引き伸ばした例です。

↓同じフレーズを別ポジションで弾いたものです。

フレーズBの延長
↓フレーズBを延長した例です。

↓同じフレーズを別ポジションで弾いたものです。

次に、これまで覚えたフレーズの応用方法を紹介します。
フレーズの応用例
覚えたものをどのように発展させるかという例を示します。
Ex-9

赤色の箇所
休符を入れたり三連符を入れたりしてリズムを変えています
このように様々なリズムを取り入れることで、シンプルなフレーズでも豊かなメロディーのように聴かせることができます。
青色の箇所
フレーズAとフレーズBを組み合わせています。
知っているものを組み合わせることで新しいフレーズが生まれるという例です。
マイナーキーのII-Vフレーズ
上記で説明したII-Vフレーズは全てメジャーコードで終わる形でした。
II-V進行にはメジャー終止だけではなくマイナー終止のものもあります。
その場合は『◯m7♭→◯7→◯m7』という風に最初のコードが『m7♭5』に変化します。
Ex-10

Ex-6のフレーズをマイナーII-Vに合うように変形させたものです。
赤色の箇所
Dm7のフレーズの一部の音を変化させて、Dm7♭5コードに合うようにしたものです。
1フレット分左へずれているのがポイントです。
元の形と弾き比べて、どの音が変化しているのかを確認しながら練習してみてください。
青色の箇所
終わりの音を1フレット分左へずらすことで、マイナーコードに対応させています。
Ex-11

Ex-8のフレーズをマイナーII-Vに合うように変化させたものです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
ジャズの演奏において、II-Vフレーズは非常に便利ですが、デメリットとしては「取って付けたような」感じになりやすい点があります。
多用しすぎると、メロディーが不自然になってしまうことがあります。
例えば、お笑い芸人は鉄板の持ちネタを持っている人が多いですが、それはいつでもウケるわけではなく、適切な場面で使わないとスベッてしまいます。
しかし、鉄板ネタはいつでも披露できるように、日頃から繰り返し練習しておくことが大切です。
同様に、II-Vフレーズも自然に指が動くようになるまで練習しておくことが重要です。
まずは、手が自然に動くレベルまでフレーズを練習することをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
↓以下の再生リストにジャズギターのレッスン動画をまとめていますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。

