ブルースは、ロックやジャズ、さらには現代のポップスまで、あらゆる音楽のルーツとなっているジャンルです。
ギターにおいても同様で、エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、ジョンメイヤーなど、ロックを代表するギタリストたちは例外なく皆ブルースの影響を深く受けてきました。
エレキギターを学ぶにあたってブルースは必修科目と言っても過言ではないと個人的には思っています。
この記事では、ブルースやロックギターを弾くなら必ず聴いておきたいブルースの定番曲を厳選してご紹介します。
ブルースの歴史やサウンドの特徴を学びながら、それぞれの曲から得られるギタリストとしてのヒントも解説していきます。
B.B. King – “The Thrill Is Gone”
ブルースを語る上で絶対に外せないのが、ブルース界の王様「B.B.キング」です。
シンガーとして勿論素晴らしいですが、チョーキング、ビブラート、スライドなどの様々なニュアンス表現や、ブルースソロにおいて最も重要な『間』の感覚など、ギタリストとして学べる点が沢山あります。
過剰すぎる表現は抑え気味で、温かく余裕のあるギタープレイが特徴です。
この自然な感じは、僕自身も学ばなければいけないなぁと思っています。
彼の代表曲「The Thrill Is Gone」は、情感豊かなギターと歌が絡み合う、ブルースの本質が詰まった一曲です。
Albert King – “Born Under a Bad Sign”
B.B.キングと並び「3大キング」のひとり、アルバート・キングの代表曲。
「Born Under a Bad Sign」は、ブルースロックの礎とも言える名曲で、スティーヴィー・レイ・ヴォーンやエリック・クラプトンなどの後進ギタリストに大きな影響を与えました。
マイナーペンタトニックを中心にした太いトーンと粘りのあるチョーキングが特徴で、誤解を恐れずに言えばワンパターンとも言えるシンプルさなのですが、個人的には少ない音数でいかにメロディーを歌わせられるかという点でとても勉強になりました。
ボーカリストとしても味わい深い歌声を持っていて、個人的に大好きなプレイヤーです。
↑こちらのスティーヴィーレイヴォーンとの共演も必聴です。ギターが歌いまくっています。
Freddie King – “Have You Ever Loved a Woman”
3大キングのもう一人、フレディ・キングはよりエネルギッシュでロック寄りのブルースマンです。
この曲はエリック・クラプトンがカバーしたことでも知られています。
フレディ・キングのプレイスタイルは激情的で、ロックギタリストにも大きなヒントを与えてくれます。
特にチョーキングやビブラートの悲痛なほどの感情を感じるニュアンス表現が個人的に大好きです。
Freddie King – “Hide Away”
フレディ・キングの代表作「Hide Away」は、ブルースギターをやるなら必ず通っておきたいインストゥルメンタルの定番中の定番です。
1961年にリリースされたこの曲は、シカゴ・ブルースの伝統を受け継ぎながらも、キャッチーで耳に残るリフと軽快なグルーヴで、ブルースをよりポップでロックな方向へと進化させた重要な作品です。
この曲にはブルースギターで使える数多くのフレーズが含まれているため、ブルースギターの語彙の基礎を作る教材とも言える存在です。
ブルースのセッションでも頻繁に取り上げられる曲であり、ギタリストなら必ず弾けるようにしておきたいブルースインストです。
Robert Johnson – “Sweet Home Chicago”
「Sweet Home Chicago」は、世界中のブルースセッションで最も頻繁に演奏されるブルースの定番曲です。1936年に録音されたこの楽曲は、12小節ブルースの基本形がそのまま使われており、初心者でも親しみやすく、ブルースの入口として最適です。
軽快なリズムと印象的なメロディは、聴くだけで自然と身体が揺れるような心地よさがあり、ブルース特有の「コール&レスポンス」も明確に感じ取ることができます。
数多くのアーティストによってカバーされ続けていることからも、この曲がいかにブルースの“原点”であるかがわかります。
ブルースを学ぶなら、必ず触れておきたい必聴の一曲です。
Robert Johnson – “Cross Road Blues”
現代のブルースの源流とも言えるデルタ・ブルースの伝説的ブルースマン、ロバート・ジョンソンの代表作です。
「クロスロード伝説」とともに語られるこの曲は、エリック・クラプトン&クリームがカバーしてロックファンにも広く知られるようになりました。
ブルースのルーツを知りたい人は必聴で、アコースティックギター1本で表現される緊張感は、ブルースという音楽の未来永劫失われない真髄が詰まっています。
↑こちらはエリック・クラプトンがかつて参加していた伝説のバンドCreamによるロックアレンジのバージョンです。
高速リズムに乗せて繰り広げられるクラプトンのソロは、即興的アイデアとブルースフィーリングが爆発しており、70年代のブリティッシュブルースを象徴するような素晴らしい完成度となっています。
個人的にこのギターソロは、エレキギターを弾く誰もが生涯で必ず一度は向き合うべき名ソロだと思っています。
Stevie Ray Vaughan – “Pride and Joy”
1980年代にブルースを再びメインストリームへと押し上げたのが、スティーヴィー・レイ・ヴォーン(SRV)です。この曲は彼の代表曲の一つで、シャッフルビートのノリとテキサスブルースならではのダイナミックなプレイが詰まっています。
個人的には、ライブ映像から右手のストロークのコツを大いに学ぶことができました。
Stevie Ray Vaughan – “Scuttle Buttin’”
SRVのもう一つの代表曲「Scuttle Buttin’」は、圧倒的なスピードとグルーヴ感で突き進むインストゥルメンタル曲です。
12小節ブルースをベースにしながら、高速フレーズを交えたテクニカルなプレイが特徴で、ブルースの枠を超えたギタープレイの可能性を示しています。
ブルースの土台を持ちながらテクニカルな演奏も目指したいギタリストにとって、非常に刺激的な一曲です。
→ 次のページでは、Muddy Waters、T-Bone Walker、Jimi Hendrix、Elmore James、John Lee Hooker、Howlin’ Wolfの名曲を紹介します。

