ギターがある程度弾けるようになり、アドリブがしたいと思ったとき、まずは多くの場合「マイナーペンタトニックスケール」を覚えることになると思います。
実際、マイナーペンタの表現の幅はとても広く、ブルースやロック、ジャズなどあらゆるジャンルで通用するスケールです。
しかし、弾き続けているうちに「マイナーペンタだけでは単調に感じる」とか「もっとフレーズの幅を広げたい」と感じるときもあると思います。
そんなときに次のステップとして覚えてほしいのが「メジャーペンタトニック・スケール」です。
この記事で紹介しているTAB譜の実演は↓の動画からご確認いただけます。
メジャーペンタの覚え方
メジャーペンタとマイナーペンタは密接に繋がっています。
ギター上では、マイナーペンタの形を3つ左にずらすだけでメジャーペンタになります。
たとえば、Aマイナーペンタを6弦5フレットから始めて弾く場合、同じ形を6弦2フレットから始めると、Aメジャーペンタ(=F#マイナーペンタ)になります。
つまり、Aマイナーペンタ=Cメジャーペンタという関係と同様に、スライドだけで切り替え可能なのです。
この「ずらすだけで変わる」という視覚的・運指的な感覚を掴むことが、両者を自在に行き来するための第一歩です。
フレーズに陰影をつけるという考え方
マイナーペンタだけで弾いていると、(アドリブのセンスにもよりますが)単調な印象になりがちな傾向があります。
一方でメジャーペンタだけで弾くのも、フレーズが明るくて能天気な感じになりやすいです。
またブルースの場合はコードごとにメジャーペンタが変わるため、取ってつけたような不自然な感じになりやすくなります。
そのため実際の運用としては、メジャーペンタとマイナーペンタを行き来しながら弾くということが多いです。
そうすることでメロディーにコントラストが生まれます。
これはブルース・ギターのフレージングの核心の一つです。
B.B.キングやエリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなどもこのコントラスト感を巧みに使っています。
ブルース以外でも使える
この方法はブルース以外でも応用ができます。
たとえば「Isn’t She Lovely」のような明るいメジャーキーの曲では、基本はメジャーペンタを使います。
しかし、途中でマイナーペンタを織り交ぜることで、ブルージーで渋いニュアンスを出すことができます。
具体的には、Fメジャーペンタを中心に弾きつつ、フレーズの一部をFマイナーペンタに置き換えると、
「明るい→ちょっと切ない→また明るい」という自然なコントラストが生まれます。
メジャー/マイナーペンタを弾き分ける練習法
① メジャー/マイナーペンタを弾き分ける練習



赤い部分はAメジャーペンタ、青い部分はAマイナーペンタです。
同じ形のフレーズをずらしているところに注目し、指板上で3フレットずらすだけで切り替えられる感覚を掴んでください。
② メジャー/マイナーペンタを繋げる練習
Ex-1

Ex-2

Ex-3

一つのフレーズの中でマイナーペンタとメジャーペンタを滑らかに移行する練習です。
こちらもさきほどの切り替え練習と同様に、赤い部分と青い部分は同じ形になっている点に注目してください。
③ メジャー/マイナーペンタをミックスする練習

ペンタを弾き分けるのではなく、メジャー/マイナーペンタ両方の音使いをごちゃ混ぜにしたフレーズです。
ポイント : 理屈より「感覚」が重要
スケールを学ぶとき、多くの人が「この音はコードの何度の音か」「理論的にどうなのか」と考えがちです。
しかし、スケールを使いこなすためのコツは学ぶことではなく「慣れ親しむ」ことです。
コードの響きを感じながら、「今は明るい方が合いそう」「ここはちょっと影をつけたい」と直感でメジャーペンタとマイナーペンタを選んでください。
そういった感覚的な判断を大切にすることで、覚えたスケールを自分の感覚に落とし込むことができます。
おわりに
ギタリストにとって、マイナーペンタはそれだけでも大きな可能性を秘めていますが、メジャーペンタを覚えることでさらにアドリブの世界が広がります。
理屈で覚えるよりも、音の明暗を感じることを意識してみてください。
「メジャーで光を当ててマイナーで影をつける」という意識を持つと、一段と表現力豊かなアドリブが出来るようになると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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