はじめに
※この記事で紹介しているTAB譜の実演は↑の動画からご確認いただけます。
ジャズでは「コードトーン」が重要であるということがよく語られます。
コードトーンとは、そのままの意味でコードを構成する音、つまりルート(1度)、3度、5度、7度などの音のことを指します。
例えば、Cmaj7というコードなら、C・E・G・Bがコードトーンになります。
ジャズにおいてはコードトーンを使ったフレーズを多用しますので、コードトーンの練習を行ないコードトーンに精通していることが必要不可欠になります。
しかし、コードトーンの練習というと、多くの場合「各コードのコードトーンを順番に弾く」といった機械的なものが多く、実際のアドリブや音楽の中でどう活かせばいいのかが見えにくいといった問題があります。
これは言語学習に例えると分かりやすいと思います。
例えば日本語を学ぶとき、「あいうえお、かきくけこ〜」だけをひたすら練習しても、会話はできるようにはなりませんよね。
音は覚えたけどそれをどう並べればいいかわからない、となってしまいます。
ですので、具体的な言葉や言い回しなど、実際の会話の中で使うものを学んでいくことが重要になります。
それと同様に、音楽においても、実際に使う「フレーズ」を覚える必要があります。
この記事では、コードトーンを単なる知識ではなく、「実際に使える形」に落とし込むための練習方法を解説します。
エクササイズ① 4弦ルートのコードトーンフレーズ

まずは、ジャズスタンダード曲の「枯葉」のコード進行を例に、4弦ルートのコードトーンフレーズを練習してみましょう。
ポイントは、次のコードトーンに経過音を使ってスムーズに繋ぐことです。
また、しっかりとリズムに乗って弾くことも重要です。
経過音やリズムの要素を練習に取り入れることで、コードトーンがただの分散和音でなく、音楽的なフレーズとして聞こえるようになります。
この練習方法は、「枯葉」だけでなく、あらゆる曲に応用可能です。
ジャズの習得においては色んな曲の色んなコード進行を学ぶ必要がありますが、どんな曲でもコードフォームだけでなくコードトーンで覚えることで、曲への理解が深まります。
エクササイズ② 5弦ルートのコードトーンフレーズ

次に、先ほどとは異なる5弦ルートのコードトーンフレーズに挑戦します。
ここでも、経過音を使ってフレーズを滑らかに繋ぐことを意識してください。
また先ほどと同じく、リズムも重要な要素です。
このエクササイズでは、エクササイズ①とは意図的に異なるリズムでフレーズを弾いています。
「何を弾くか」も大切ですが、それ以上に「いつ弾くか(どのタイミングで弾くか)」は、アドリブにおいて非常に重要です。
様々なリズムの中で、リズミカルにフレーズを弾けるように練習しましょう。
エクササイズ③ コードトーンを組み合わせる

これは少し発展的なフレーズです。
このエクササイズでは、コードトーンとコードトーンを組み合わせて、より長いラインを作っていきます。
エクササイズ④:5・4・3弦ルートを網羅する練習



最後に、これまで練習してきた5弦、4弦、そして3弦ルートのコードトーンを全体的に網羅する練習です。
冒頭のYouTube動画の中で語っていることですが、完全にすべてのコードや形を網羅する必要はありませんし、得意な形や苦手な形があっても全く問題ありません。
しかしコードトーンの形の全体像をざっと見渡しておくことも大切ですので、余裕があれば日々の基礎練習として取り入れてみてください。
まとめ:挫折しないジャズギター練習のポイント
今回のコードトーン練習で最も重要なポイントは以下の通りです。
- 実際に使える形でコードトーンを覚えること
- 経過音やリズムとセットで覚えること
- とりあえず「ワンパターン」でOKということ
ジャズギターは挫折しやすい、という話をよく耳にします。
それは、座学や機械的な練習から入ると、「弾けたという実感」が伴いにくいためではないでしょうか。
例えば外国語を覚える際にも、いきなり文法規則や成り立ちから入るのではなく、まずは使い勝手の良いフレーズを覚えて、とりあえず「話せた!」という実感を得るのが重要ではないかと思います。
そのため私のコンテンツでは、極力専門的な音楽理論的な用語は使わないように心がけています。
とはいえ、今回のように手っ取り早くフレーズを覚えて、それらのフレーズを繋ぎ合わせる状態はいわば「カタコト」で喋っている状態となります。
カタコトでも話が通じればコミュニケーションとしては全く問題ありません。
しかし、より深くその言語を学ぶためにはやはり文法や成り立ちなどの本質的な部分を学ぶこともまた必要になります。
ただやはりその場合においても、まずはカタコトでもいいのである程度の形にしてから→より深い内容に取り組むという順序が大事だと考えています。
これはコミュニケーションツールである音楽の本質に則った方法であると思います。
もしこの練習方法が「自分に合っている」と感じていただけた方は、ぜひ他の動画や記事もチェックしていただければ嬉しいです。
↓の記事は、今回の内容の続編です。
また、以下の再生リストからジャズギター講座の他の動画もご覧いただけます。


