ペンタトニックスケールでのアドリブにある程度慣れてくると、次はフレーズをどのように展開させればよいかという悩みが生まれます。
この「展開」という言葉は、物語の展開と同じような意味です。
短いフレーズを組み合わせたり、変化させたり、延長させたりすることで、長いメロディーを構築することを指します。
私たちが普段使っている言語も、一つ一つの小さな言葉が繋がって大きな文章を形成しています。
音楽も同様に、一つ一つのメロディーが集まることで曲が成り立っています。
どのようにフレーズを紡いでいけば自然なメロディーが作れるのか、この記事ではさまざまなアイデアを解説していきます。
基本フレーズ

↑Aマイナーペンタトニックの短いフレーズです。
これを元に、フレーズを展開させるアイデアを以下に解説します。
音を反復させる
フレーズ内の任意の音を反復させるという方法です。
アドリブにおいては、高揚感を演出したいときに使用すると効果的です。
反復を活かしたフレーズ例を以下に示します。
Ex-1

最初の一音を反復させた例です。
Ex-2

途中の三音を反復させた例です。
Ex-3

色んな音を反復させた例です。
反復をうまく使えば、このように少ない音数でも豊かなメロディーを作ることができます。
終止音を変える
フレーズの最後の音だけ変えるという方法です。
最後の音はコードに含まれている音(コードトーン)であるという点に注目してください(色付きの箇所)
と言っても必ずコードに含まれる音で終わらなければいけないというわけではありません。
なんとなくこの音で終わらせるといい感じになりそうだ、といった感覚を意識するだけで大丈夫です。
それだけでも一歩進んだアドリブが出来るようになります。
Ex-1


Ex-2


フレーズを延長させる
フレーズを終わらせずに、そのままAマイナーペンタトニックを弾き続けるという方法です。
機械的な感じになるのですが、アドリブ演奏において常に100%創意工夫あふれる演奏をするというのも難しいので、以下の例のようにスケールをただ機械的に弾くだけという場面があっても良いと思います。
Ex-1
最初のフレーズを弾き終わったあと、スケールを下降しながら延長する例です。

Ex-2
上昇しながら延長する例です。

コールアンドレスポンスを活用してフレーズを考える
コールアンドレスポンスとは『呼びかけと応答』という意味です。
どういうことかというと、一つの決まったメロディーに対してそれに呼応するようなメロディーを弾くということです。
そうすることで、あたかも会話をしているかのような自然なメロディーを作ることができます。
この手法は黒人音楽の伝統で、ロックやブルースでよく使われるものです。
どんな風に作らなければいけないという厳密な決まりがあるというわけではないのですが、通常はどちらか片方のフレーズはあまり変化させずに、もう一方のフレーズをどんどん変化させることが多いです。
そうすることでメロディーの面白みを演出します。
下の例の場合、赤色のフレーズが呼びかけ、青緑黄色のフレーズが赤色のフレーズに対する応答となります。
赤色の呼びかけフレーズは常に同じフレーズで、青緑黄色の応答フレーズが変化していきます。



おわりに
様々なフレーズ展開のアイデアを紹介しましたが、シンプルなフレーズでもこのような様々なアイデアを活用することで無限に発展させられる可能性を秘めています。
アドリブは厳密なルールに縛られるものではなく、自由な発想と表現の場です。
これらのアイデアが演奏におけるご自身の個性を表現するための手助けとなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
↓以下の再生リストから、ブルースギターに関する色々なレッスン動画をご視聴いただけます。

