クラシックギターの特徴的な奏法として有名なのがトレモロ奏法です。
上手くできれば流麗で華やかな反面、音が揃わなかったり指がうまく動かなかったりと、習得に難しさを感じる人も多いと思います。
僕自身はクラシックギタリストでも何でもないのですが、過去にトレモロを頑張って練習していた時期があり、その経験から役に立った練習方法やコツをこの記事で紹介します。
トレモロ奏法のやり方を解説してみました。 pic.twitter.com/F8J5rsvC69
— 田中 (@tanaka_gt_x) October 8, 2025
トレモロ奏法とは
トレモロとは、本来「急速な反復」を意味する音楽用語です。
色んな楽器で使われる言葉ですが、クラシックギターにおいては狭義的に「親指でアルペジオを弾きながら、高音弦を高速で弾く技巧」を指します。
典型的なトレモロのパターンは次のような動きです。

p – a – m – i
親 – 薬 – 中 – 人
親指(p)がアルペジオの伴奏部分を担い、残りの3本で高音弦のメロディを連続的に奏でます。
代表的な曲としては、『アルハンブラの思い出』↓が有名ですね。
クラシックギターを弾く人が一度は憧れる花形技法であると同時に、習得が難しい奏法として有名です。
トレモロ奏法を弾くためには、指の「独立」と「連携」、「運動の精度」という、的を絞った練習を行うことが大切です。
それらの具体的なやり方を以下で解説します。
基礎練習① | 親指の独立性を鍛える
最初に意識すべきは、親指(p)のコントロールです。
トレモロ奏法ではimaの動きに注目されがちですが、意外と親指の動きが重要だったりします。
親指が不安定だと他の指も安定しないからです。
練習法:親指だけを動かす練習

- 右手の 人差し指・中指・薬指(i, m, a) を1弦に軽く触れた状態で固定します。
- i,m,a指を1弦につけたまま、親指を使ってアルペジオをゆっくり正確に弾きます。
このときのポイント:
- 親指の動きにつられて手全体が動かないようにする。
- 最初は多少オーバーな動きをしてイメージを掴むのも有効です。
この段階をじっくりやることで、後のトレモロ全体の安定感が大きく変わります。
↑極めてスムーズで理想的な親指の動きだと思います。
親指が完全に独立していて、右手の型が微動だにせず、親指の動作がima指に影響を与えていません。
基礎練習② | 指の連携を整える段階的トレーニング
p指が独立してきたら、次は他の指との連携を鍛えます。
いきなり「p–a–m–i」とやるのではなく、段階を踏みながら徐々に感覚を掴んでいってください。
練習法
① p – a(親指と薬指)だけで交互に弾く

② p – a – m(親・薬・中)で3連

③ p – a – m – i(親・薬・中・人)で4連

③のp-a-m-iの段階まで行ったところで、音の分離が悪くなってグチャっとなる現象が多いです。
その時は1→2→3→1→2…という風に、何度も段階を繰り返して感覚を掴んでください。
実践練習 | 曲の中での練習方法
次は実際の曲の中での練習方法です。
ここでは2つのアプローチを組み合わせるのがおすすめです。
▶ ゆっくり練習:フォームの精度を高める
ゆっくり練習では、「親指を次に弾く弦の上に先回りさせておく」という動作の練習がおすすめです。
(※冒頭の動画参照)
一見かなり不自然な動きに思えるかもしれませんが、この“先行動作”ができると親指の動きが最小限になり、普通に弾くときでもスムーズな動きが可能になります。
▶ 速い練習:「1セット」を意識して弾く
実際は高速で弾かなければならないので、速い動作の感覚というものを体に覚え込ませる必要があります。
そのために「p–a–m–i–p」までを1セットとして捉えて、pからpまでを駆け抜けるといったイメージで弾く練習を行います(※冒頭の動画参照)
この1セットを一つの動作として体に覚え込ませることで、スピードを出すために必要な勢いをつける感覚が身につきます。
まとめ
トレモロ奏法のような精緻なテクニックは、がむしゃらな練習だけでは習得が難しいです。
大切なのは、いかに動きの無駄を省くかという原則です。
- 親指の独立を徹底的に鍛える
- 指の連携を段階的に鍛える
- 「ゆっくり」と「速く」で精度とスピードを両立する
何事も地味な練習の積み重ねでしか上達しませんが、改善を繰り返している限りは努力は無駄になりません。
無駄な動きや無駄な力みを、日々少しずつ削っていくということが大事です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

