
レコーディング、動画撮影、ライブ配信、オンライン会議など、音声まわりの環境を整えたい方にとって、オーディオインターフェース選びはとても重要です。
僕の場合は今年から(今さら)ギターのオンラインレッスンを始めたのですが、当初の機材周りが煩雑でストレスも多かったため、より快適な環境作りのためにオーディオインターフェースを導入する必要がありました。
そこで、いくつかの候補を比較検討した結果、YAMAHA AG03MK2を購入しました。
実際に導入した結果、色んな面で改善を実感できたので、その体験をもとに詳しくレビューします。
AG03MK2を購入した理由
僕はもともと動画撮影やオンラインレッスンの際には「USB出力付きのマルチエフェクター+USB式マイク」をMacに個別に接続し、さらにMacの機器セット機能でまとめるという荒技で凌いでいました。
しかし、この環境はかなり無理がありました。
- PC出力の音量を独立して調整できない
- つまり、Zoomレッスン中でも受講者の音量を調整できない(致命的)
- 接続設定が複雑で、トラブルが起きないかヒヤヒヤする
この状態ではまずいので、早くなんとかしたいと思っていました。
絶対に譲れない機能
自分の中で絶対に必要な機能は以下の3つです:
- PC出力の音量を独立して操作できること
- ループバック機能があること
- 声とギターをL/Rに分けて録音できること
AG03MK2は、この3つをすべて満たしています。
他に検討した機種との比較
Audio-Technica AT-UMX3
こちらの機種は最後まで悩みました。
コンパクトさやスタイリッシュな見た目は魅力的です。
またPC出力を独立して調整でき、ループバックにも対応している点も優秀なのですが、出力端子がステレオミニ1つしかないという点がネックでした。
自宅での対面レッスン時にはスピーカーを使うので、ヘッドホンと併用しにくいAT-UMX3は見送りました。
また、機能的にも完全に配信用途に特化して割り切ったような印象を受けたので、そこも自分の用途とは少しズレるかなと思いました。
ZOOM AMS-24
こちらは以前買って今も所有している機種なのですが、小型でデザインも良く、ループバック機能もあるので、以前は動画制作などで活用していました。
しかしPC出力の音量を独立して調整できないという問題があったため、オンラインレッスンでは使えませんでした。
惜しいところまできているのですが、僕の用途には不向きで断念。
Steinberg UR22Cなど、音楽制作用のオーディオインターフェース
音楽制作用のオーディオインターフェースも検討しました。
しかし例えばSteinberg UR22Cの場合は、PC出力を単独で調節するつまみは無く、PC出力とマイクや楽器の音量のバランスを調節するという構造になっているため、例えばオンラインレッスン時に相手の音量を上げようと思うと自分のモニター音量が下がってしまうという仕様です。
この仕様はおそらくレコーディング用として最適化されたもののため、僕の用途には合わないと判断しました。
こうして比較検討した結果、僕が必要とする条件をすべて満たしていたYAMAHA AG03MK2に決めました。
購入前にちょっと悩んだこと
コンデンサーマイクが必要
AG03MK2の性能を活かすためにはコンデンサーマイクが必要になります。
以前使っていたこともありましたが、コンデンサーマイク自体大きいものが多く、マイクアームもしくはスタンドなどが必要になるためデスク周りの圧迫感が嫌でした(しょうもない理由ですが)
しかし最終的には、オーディオテクニカのヘッドセット「ATH-M50xSTS」の購入を決意することでこの問題を解決しました。
ATH-M50xSTSについては以下の記事でレビューしています。
AG03MK2の個人的メリット
ここからは、個人的に感じているAG03MK2の良いところです。
独立した音量コントロールがストレスフリー
当たり前ですが、「自分の声」「自分のギター」「相手の音声」これらを別々にコントロールできるのは、本当に便利です。
オンラインレッスンが劇的に快適になりました。
声とギターを左右に分けて録音できる
「Dry 2ch」機能を使えば、声とギターをL/Rに分けて録音可能。
そうすることで、YouTubeの動画編集時に、声とギターのバランスを自由に変えたり、声だけにノイズ除去プラグインをかけたりできるので、非常に便利です。
ループバック機能
「弾いてみた動画」的なやつをパッと撮りたい時に便利です。
歌のカラオケ、楽器の配信、BGM用など、配信向けオーディオインターフェースにとっては必須機能だと思います。
コストパフォーマンスの良さと多機能性
AG03MK2の魅力は、価格以上の多機能さにあると思います。
いくつかの機種を比較検討しましたが、この価格でここまで配信・録音・レッスンに対応できるのはAG03MK2だけだと感じました。
機能性という点ではこの価格帯で最強クラスだと思います。
ミュートボタンが地味に便利
ワンタッチでマイクをオフにできるのはたまに重宝します。
旧モデルにはなかった機能ですが、おそらく昨今のオンライン会議文化など、時代に合わせた改良点なんだろうと思います。
USB-C対応
AG03MK2は旧モデル(AG03)からUSB Type-Cに変更。
これにより給電能力が向上し、音質面でも改善されているそうです。
僕の耳ではよく分かりませんが、ただ個人的には手持ちのケーブルでL字型のUSB-Cケーブルがあったので、それでデスク周りをスッキリさせられたのが嬉しかったです(しょうもないですが)
OBS公式認証
AG03MK2は配信アプリ「OBS」の公式認証デバイスらしいです。
僕もオンラインレッスンや動画撮影でOBSをフル活用しています。
認証されてると具体的に何が良いのかよく分からないけれど、とりあえず公式デバイスということでなんとなく気分が良いです。
AG03MK2のデメリット
今のところ、さほど大きな欠点はありませんが、あえて挙げるなら以下の通りです。
- 本体が少し大きい
デスクスペースが限られている方は注意です - Ch2の調整項目が少ない
Ch2のゲインはHigh/Lowの2パターン固定式です。
ギターを直で繋げる場合はHigh、マルチエフェクターやアンシミュなどを挟む場合はLowになるわけですが、細かいゲイン調整は入力側で行う必要があります。
しかしピークランプが無いので入力レベルの調整はなんとなく勘で行う必要があります。
実用上問題になることはさほどありませんが、神経質な人にとってはちょっとモヤる部分かもしれません。
AG03MK2はこんな人におすすめ
音楽制作よりは配信向けオーディオインターフェースではありますが、中でも音楽系の配信には最適な機能構成になっているのではないかと思います。
- 演奏動画をアップしたりやライブ配信をする人
- 1台で宅録・配信もすべてをこなしたい人
- とりあえず「何をするにも不足がない」というストレスフリーな環境を作りたい人
におすすめです。
まとめ
YAMAHA AG03MK2は、「ライブ配信」「動画撮影」「オンライン会議(レッスン)」「宅録」といった幅広い用途を、1台で快適にこなせるバランスの良いオーディオインターフェースです。
特に、以下の点でメリットを感じています。
- PC出力の音量を独立してコントロールできる
- Dry 2ch機能で声と楽器をL/R分離録音
- ループバック機能で手軽に弾いてみた動画が撮影できる
- USB-C対応
複数の楽器を繋ぐなどミキサー的な機能を求める方はAG06MK2が必要になりますが、一般的な個人配信・動画制作であればAG03MK2で十分快適です。
導入前は設定の煩雑さや音量調整問題に悩まされていましたが、AG03MK2に変えてからは作業効率が上がってストレスも無くなりました。
これから配信や動画制作に向けて環境を整える方には、間違いなくおすすめできる一台です。


