ギタリストにとって、マルチエフェクターは「音作りの自由度」と「演奏環境の快適さ」を大きく左右する重要な機材です。
今回は、ZOOM G2XFourを実際に1か月間使ってみた体験をもとに、良い点・悪い点を正直にレビューします。
ZOOMらしい使いやすさや音質の進化に感動した部分もあれば、実際に使って初めてわかった不満点もありました。
購入を検討している方の参考になれば幸いです。
購入理由
以前は同じZOOM製のGCE-3を使っていましたが、最大の不満はアプリの不安定さでした。
私はMac版を使っていたのですが、頻繁に強制終了したり、アプリ内の小ウインドウが勝手に閉じたりすることが多く、操作にストレスを感じていました。
Windows版で同じ問題があるかは分かりませんが、ついに我慢できなくなり、アプリに依存しないで使える機種が欲しくなったのが購入のきっかけです。
購入時にはG2Four(フットペダルなし)にするか、G2XFour(フットペダル付き)にするかで悩みました。
フットペダルを使ってゲインコントロールできれば便利だと思ったのですが、実際に使ってみると色々問題がありました。
その予感は当たってしまって、結果的に手放すことになりました。
1ヶ月程度の短い付き合いでしたが、最後の思い出にレビュー記事にしたいと思います。
外観・付属品
G2XFourはシンプルなデザインが特徴です。
ディスプレイやノブの配置が見やすく、初めてでも迷わず操作できます。
また、専用のACアダプターは旧機種のG1Four / G1XFourは別売りでしたが、G2 Four / G2X Fourは付属しているのはありがたいポイントです。
汎用の9Vアダプターでも使用できます。
良いところ
1. 操作が直感的で分かりやすい
説明書を読まなくても使い始められるほど、操作が感覚的です。
音色の切り替えやエフェクト設定も迷わずできるので、こういった機材を初めて使う方にもおすすめです。
ただ、他のメーカーの操作系統とは大きく異なっているので、ZOOMの操作性に慣れると他メーカーの機種の操作には戸惑うかもしれません。
2. 音質が向上
個人的にまず感じたのは、G2XFourでは、クリーントーンがこれまでより自然でクリアになったように感じました。
GCE-3や以前持っていたG1XFourでは、どのアンプモデルでもうっすらと歪む傾向があって純粋なクリーンサウンドを作るのが困難でした。
G2XFourでは、ある程度コンプなどでピークを抑える必要はありますが、今までの機種よりも純粋なクリーンが出せるように感じました。
またこれは感覚的なものですが、マルチIR機能のおかげなのかデジタルモデリングの宿命とも言える「作られた音感」が抑えめで、弾いていて気持ちがいいです。
3. 統一感のあるサウンド
最近はIRインポート対応のマルチエフェクターが増えていますが、モデルごとに音の感触がバラバラになりやすいので、個人的にはあまり好きではありません。
その点、ZOOMは良くも悪くも“ZOOMの音”なので、全体的に統一感があります。
私自身、高校生の頃からZOOMの機材を使い続けてきたので、実家のような安心感があります。
4. アンプモデルとキャビネットモデルが一体化
旧モデルではアンプとキャビネットを別々に設定する必要がありましたが、G2XFourでは一体型になっています。
これによって設定の手間が減るので音作りが楽です。
個人的には音作りに時間をかけたくない(それよりも練習したい)ので、この仕様はとても助かります。
また、エフェクトスロットを1つ節約できるため、他のエフェクトをより多く使えます。
旧機種のG1Fourでは、アンプ・キャビ・ノイズゲートを入れるとそれだけでほとんどのスロットが埋まってしまっていたので、G2XFourで自由度が大きく向上しました。
悪いところ
実際に使ってみると、「惜しい」と感じる部分もいくつかありました。
1. モバイルアプリしかないのにBluetooth非対応
モバイルアプリでしかエディットできないのに、Bluetooth非対応という謎仕様です。
毎回USBで接続しないと編集できず、これは正直かなり不便です。
USB接続であれば、PCでエディットができるようにPC用のデスクトップアプリが欲しいと強く感じました。
2. ペダル付きモデルは操作が面倒
G2XFourにはエクスプレッションペダルがついているので、ペダルで歪み具合などをコントロールできたら便利だななどと思っていたのですが、私のように家でしかギターを弾かないお座敷ギタリストにとっては操作性が悪かったです。
その他の操作するたびにいちいちかがむ必要があり、非常に面倒です。
一方、ペダルなしのG2Fourであれば本体をデスク上に置き、外付けのエクスプレッションペダルを足元に置くといった使い方ができるので、そちらの方が快適だと感じました。
また、私の場合フットペダルはゲインコントロールに割り当てていたのですが、「今ゲインがどれくらいに設定されているか」ということが分からないのもストレスでした。
もちろん音を聴いて判断すればいいだけのことなのですが、アナログのエフェクターのつまみのように、どれくらい回しているかとが視覚的にも分かる方がやはり便利だなと感じました。
3. エフェクトスロットの移動が面倒
目的のエフェクトにたどり着くには、左右のスイッチで一歩ずつ移動する必要があります。
BOSSのGT-1などの他機種のように、ボタンひとつでそのエフェクト項目にジャンプできる仕様の方が操作性が良いと感じました。
まとめ
ZOOM G2XFourは、コスパや分かりやすさといった昔ながらのZOOMらしい良さを保ちながらも、マルチIR機能などによってより進化したサウンドが得られます。
用途的には、どちらかというと外に持ち出してガンガン使い倒す人に向いていると思いました。
1か月程度の短い期間ですが、使っている中で自分の使用用途には合わない点が色々見えてきたため、結果的に手放すことになりましたが、直感的でシンプルに使えてかつ音質の良いマルチエフェクターを探している方には十分魅力的な選択肢になると思います。

